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研 究 業 績オープン・ イノベーション研究自工程完結研究 (JKK)サプライヤー・ システム研究リ ン ク

サプライヤー・システム研究

研究の背景

 日本自動車産業は、自動車の生産・開発では後発であったにもかかわらず、第二次世界大戦後から短期間で競争優位性を構築しました。近年では、日本の自動車生産システム・開発システムは、自動車に関して先発であった米国自動車産業からもベンチマークの対象になってきました。ただし、日本自動車産業の競争優位の源泉は、自動車メーカー内部の生産システムや開発システムにおけるテクニカルな側面だけではありません。いわゆる系列と呼ばれるような、生産と開発を含めた部品取引関係(サプライヤー・システム)の優位性が特徴的であることが、これまでにも数多く議論されてきました。自由市場における価格調整メカニズムを基礎にした取引に比べて、日本では、長期的・継続的・協調的な取引関係が成立していると言われています。
 同時に、日本も含めて世界中の自動車組立メーカーが、世界で最も優れた技術力や低コスト力を持つサプライヤー(部品メーカー)を求めています。つまり、サプライヤー・システムも、少なくとも部分的には柔軟に変更されると考えられるのです。従来のサプライヤー・システムが、現在どのように変化していて今後どのように変質をするのか、理論的・実証的に研究することには大きな意義があると考えられます。

企業間信頼の効果

 日本のサプライヤー・システムは、自動車組立メーカーとその部品メーカーが一体となって、種々の問題を共同で解決しています。この共同問題解決のカギとなるのが、企業間の信頼であると私は考えています。信頼があるからこそ、事前に詳細な契約を結ぶことなく、相互に情報を開示して相手にコミットできるためです。どのような種類の企業間信頼が重要であるのか、また、サプライヤー・システムの変質とともに企業間信頼がどのように変化するのか、について研究をしています。

協豊会の学習システム

 日本の大手セットメーカーには、その取引メーカーを協力会として組織していることがあります。特に、トヨタの協力会は「協豊会」と呼ばれていて、自動車メーカーとサプライヤー間で緊密な研究・学習活動を行っています。通常、協力会は親睦会の性格しか持っていないことが多いと考えられますが、協豊会は新しい知識を創造しています。この意味で、世界ではもちろん、日本においても協豊会は稀有な存在だと言えます。協豊会の活動成果は協豊会のメンバー間で共有されるので、トヨタや協豊会メンバー企業の競争優位に協豊会活動が貢献していると私は考えています。いかに企業間で効果的な学習が行われているのか、ひとつのシステムとして研究しています。また、協豊会の活動のグローバル展開における課題も、研究の射程に入っています。

これまでの研究過程と成果

 ここ10年間以上、私は自動車産業におけるサプライヤー・システムについて研究をしてきました。その成果は、神戸大学大学院経営学研究科に提出した博士論文(『サプライヤー・ネットワークにおける組織間信頼の意義―日本自動車産業の研究―』)にまとめたほか、『組織科学』誌(「企業間協調における信頼とパワーの効果―日本自動車産業の事例―」)、『一橋ビジネスレビュー』誌(「ネットワーク信頼の構築:トヨタ自動車の組織間学習システム」)などで発表しています。
 また、電子データ交換(EDI)への取り組みや効果の視点から日米のサプライヤーを比較した研究を、Journal of Organizational Computing and Electronic Commerce誌( Determinants of EDI Adoption and Integration by U.S. and Japanese Automobile Suppliers”)や、 International Journal of Technology Management誌(A Comparative Analysis of EDI Integration in US and Japanese Automobile Suppliers”)において発表しました。
 
 

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